Vol.311 2020.9.8

音楽・美術の旅 メールニュース
 
Column

生活の新しいかたち その2

ミラノを出発して90分、高速道路をヴェネツィア方面へ、西から東へひた走るそのほぼ中間にヴェローナという中世の色合いを残す町はある。高速下りてそのまま北へしばらく走ったら大きな広場、ポルタ・ヌオーヴェ(新門)が見えてくる。門を回り込みそのまま直進したその先、アディジェ川の蛇行に孕まれるかのようにブラ広場はあり、その奥まった緑の木々の中にローマ時代より鎮座する円形競技場アレーナを見つけることができる。

いくつかの国との国境をもつイタリアは、島国である日本とは異なり、近隣国(欧州連合加盟国、シェンゲン協定加盟国、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国、モナコ、バチカン、他小国)への入国を首相令として6月上旬に発表している。新型コロナと経済との均衡を保つ、というよりもかなり落ち込んでしまっている経済の復興に比重を置いたやり方が目につく。ロックダウンの解除後、多少の感染リスクがあってもこれ以上経済を窮地に追い込むわけにはいかないと国が判断したわけである。

7月にガルダ湖畔の町、シルミオーネに出掛けたことをすでに紹介している。シルミオーネはイタリア人に愛されるばかりでなく、欧州はじめ世界各国よりバカンスを過ごすために人々が集ういわば夢の保養地であり、近年はアジアからのツアー客を見かけることも少なくなかった。もちろん、例年に比べると真っすぐ歩けぬほど混みあう楽園という感じではなかったが、それでも様々な言語がいたるところで聞こえてきていた。

観光大国イタリアが経済の活性化を図りたいのであれば外国から客を入れなければならない。あまりにも漠然とした入国許可国の選別(入国時の自主隔離期間なし)には疑問を残すが、とりあえず近場の国との行き来ができるように、イタリアに金銭をもたらす苦肉の策であればそこはそれで賢明であろう。

シルミオーネに比べるとこの8月のヴェローナにあまり活気を感じない。それはそうであろう。例年であればアレーナで行われる野外オペラを観るために世界中より人々が集まってくる。16,000人を収容できる円形競技場があり、それ以外の観光客もブラ広場周辺を歩く。広場の半円に連なる飲食店はどこもいっぱいなのである。

感染のリスクを避けるために今夏のアレーナは小規模の集客にとどまった。僅か500名だろうか。いや、それ以下かもしれない。予定されたすべての演目をとりやめて、我われの観たコンサート形式の「ジャンニ・スキッキ」と、いくつかのガラコンサートのみ。円形の平土間に舞台を設置して、そこにオーケストラと歌い手を上げながら聴衆はみな外野席に回った。ヴェローナ音楽祭史上はじめての試みであるという。

順風満帆とはいえぬ状況下、何らかの打開策を示しながら前を向いている。ただ怖がるばかりでなく自分たちでつくったルールに荒んだ空気を払い、何よりも音楽の素晴らしさを伝えようとしている。がむしゃらに挑んで創りあげられたオペラにこころを打たれている。

堂満尚樹(音楽ライター)

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